抵当権の付いたマンションに住んでいて競売にかけられたら・・
自分の住んでいるマンションに抵当権が付いていて、競売にかけられたら、場合によっては居住者は引っ越さなければならなくなります。
その競売によって買受人が買い受けたときから6ヶ月以内に、買受人に引き渡さなければならないからです。
もし、抵当権が、自分が住み始めた後に付いた場合は、引き渡す必要はありません。
しかし、抵当権の後に、マンションに住み始めたら6ヶ月以内に引っ越しをする必要があります。
要するに、賃借権でも抵当権でも、早く権利を取得した方がより優先される、ということです。
但し、居住者は抵当物件が競売にかけられて、買受人が買い受けたときから、6ヶ月間はマンションに住めるという猶予期間が認められています。
生活上支障がないように、引っ越しの手続をするには、それだけの期間が必要だということが、法律上認められています。
抵当権者全員の同意があれば引っ越さなくてもよい場合があります
抵当権が付いた後にマンションに住み始めて、住んでいるマンションが競売にかけられた時、どうしても今のマンションに住み続けたい場合、抵当権者と話合いをして「同意」してもらうと良いと思います。
民法では
「登記をした賃借権は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべて者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる」(民法387条)
という決まりがあります。
つまり、マンションが競売にかけられても抵当権が実行される前であれば、抵当権者全員の同意があれば、仮にマンションが売れても買受人に対して賃借権(自分がこのマンションに住み続ける権利)を主張する事が出来ます。
これは、抵当権者や買受人に不利になって、居住者が一方的に得しているような不思議な制度のような気がします。
しかし、居住者の住み続ける権利(賃借権)を残しておく方が、抵当権者や買受人にもメリットになることがあります。
つまり買受人が投資用のマンションとして購入を検討している場合です。
不動産投資をして家賃収入で収益を上げたいと考えている買受人の場合、買った当初から居住者がいることは、必ずしも損なことではなく、むしろ新たに居住者を探す手間が省けて助かる場合があります。
また、抵当権者にしても、既に賃借人がいることはマンションの担保価値を上げるのに役立ちます。
そうなると、賃借人がわざわざ引っ越して出て行くことは、あまり意味がなく、そのまま住み続けてくれた方が、抵当権者・買受人・居住者双方の利益になるのです。
このような意味合いで民法387条は規定されています。
なので、もし自分が家賃の滞納がない優良な賃借人であると思ったら、まずは抵当権者と話し合って同意をもらう事を考えた方が良いかもしれません。
せっかく住み慣れた住居を、わざわざ出て行かなくてもよくなる可能性があるのですから、辛抱強く抵当権者と交渉してみると良いと思います。
交渉する際は法律に詳しい専門家と一緒に行くとより効果的です。
専門家が一緒であれば、相手方も真剣に話を聞いてくれますし、法律を知っている分、有利に交渉する事が出来ると思います。
また、協議書の作成や法務局への不動産登記申請なども合わせて行っていかなければならないので、最初から専門家に依頼して、一緒に交渉を進めても良いと思います。