自分の権利を守って穏やかな人生を送る方法とは?

令和元年12月に「行政書士法の一部を改正する法律」が成立公布されました。
施行は1年6ヶ月後です。

改正内容はいくつかあるのですが、最も重要な内容は、行政書士法第一条の行政書士法の目的を規定する条文の改正です。

行政書士法の目的を規定する条文が以下のように改正されました。

(目的)
行政書士法 第一条 「この法律は(~省略~)国民の権利利益の実現に資することを目的とする。」

という風に「国民の権利利益の実現に資する」という文言が明記されました。

今までの行政書士法の目的のこの部分は「国民の利便に資する」というようなあいまいな表現で明記されていて、行政書士の職務目的がはっきりと定まらず、事務代行の便利屋的な側面で見られがちでした。

しかし、「国民の権利利益の実現に資する」と明記されたので、国民の権利を守ることが行政書士の職務目的である事がはっきりと示されました。

この「国民の権利利益の実現」とは「公法上及び私法上の国民の権利利益の実現」の意味です。

行政手続き上の権利の保護だけでなく、民間人同士の関わりの中で権利が侵害された場合、権利の保護を目的として活動する事を意味しています。

権利とは法律用語であり、権利利益に資するには、当然に法律行為が伴わなければ実現出来ません。

行政書士は、国民の意思に沿った形で法律行為を行い、国民の権利を保護する事が職務目的といえるようになったので、今後ますます活躍の場が広がっていくこととなるでしょう。

そこで、今回は、この法律改正を記念して、もし自分の権利が侵害された場合どのように対処すればよいかの基本的な対処方をご案内できればと思います。


国民の権利を守る条文~民法709条


国民の権利を守る法律として最も重要な条文が以下になります。

(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

この条文によって不法行為が認定されれば、損害を与えた者は、損害を与えた相手に損害賠償をする必要があります。

そして、その不法行為の認定は管轄の裁判所がする事になります。
もし、自分の権利が侵害され、実際に損害が発生していれば、管轄の裁判所に申立てる事で不法行為を認定してもらえます。

裁判所によって不法行為が認定され、なんらかの法的拘束力のある決定が下ったら、損害を与えた相手は損倍賠償をしなければいけません。

賠償の内容や程度も裁判所が決める事が出来ます。

このように、裁判所に申立てる事によって自らの侵害された権利を回復する事が出来ます。
この不法行為制度は被害者の救済と損害の公平な分担にあります。

日常生活で様々な問題に直面することがあると思いますが、被害者が救済され公平に損害が分担されるには、このようにルールに則り手続を踏むことが重要です。

そのためには何が不法行為に該当するのかをしっかりおさえておく必要があります。


不法行為が認められる要件


不法行為の成立要件は以下の5つです。
以下5つの要件全て満たす必要があります。


1.故意・過失

民法709条は過失責任が原則です。
過失責任とは、わざと相手に損害を与える目的をもって、その行為をした場合に該当します。

つまり、不可抗力や不注意から、誤って損害を与えた場合は不法行為にはあたりません。
どんなに注意しても防げない事や、ちょっと注意を怠っていた時に損害が発生してしまった場合などは、日常的によくある事です。

そのような場合は不法行為が成立しないので損害賠償する必要はありません。

しかし、不注意とは社会通念上の注意義務を基準にするので、不注意の程度があまりにも著しい場合は、故意ととられて不法行為に該当する恐れがあります。

あくまでも相手方がわざと相手を傷つける目的をもってした行為が原則となりますが、不注意が継続的にあって、損害の程度が著しく発生している場合、社会通念上常識的に見て故意ととられる場合もあるということです。


2.責任能力

責任能力とは自己の行為が違法なものとして、法律上非難されるものであることを弁識することができる能力のことをいいます。

このような責任能力を有していないものは不法行為に該当しないので、その責任を問うことは出来ません。

但し、責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。


3.権利又は法律上保護される利益の侵害(違法性の有無)

法律上保護されている利益の侵害がある場合、違法性に該当します。

例えば、所有権は法律上保護された利益ですので、自分の物が他人に不当に取られた場合、利益の侵害があったとして違法性が出てきます。

また、法律上の保護される利益は条文上の権利だけなく、個別の契約からも発生します。
ある契約が結ばれた事で一定の保護される利益が発生する場合があります。

しかし、どちらか一方の責任により契約が破られて、保護される利益が契約の範囲内で侵害されれば、違法性が出てきます。

この違法性の有無の認識は条文から直接引用して、相手方の違法性を立証しても良いです。

法律上当然に守られなければならない利益が、ある条文に違反する事でその利益が侵害されていれば、違法性が出てきます。

権利や利益の侵害は法律上の根拠をどこに持って行くかが重要です。
違法性を主張する場合、なんらかの根拠を示す必要があります。

それが所有権のように一般的に認識されている権利、契約から保護される利益、法律の条文から守られる利益など様々なパターンが考えられます。

何が違法性を立証する根拠となるのか、しっかり明らかにする事が重要です。


4.損害の発生

不法行為が認められるには、実際に損害が発生している必要があります。

その損害が現実的な損害で有ることが重要で、仮説や推測では駄目です。

損害は財産的損害と精神的損害(慰謝料)に分けられます。

財産的損害については、治療費などの積極的損害と過失利益などの消極的損害があります。

過失利益とは、不法行為がなければ得られるはずであった収入などがあります。
突然の契約解除などによくあるパターンです。

突然の契約解除によって収入が絶たれた場合、それをもって損害が発生していると認められるので、不法行為に該当する可能性があります。


5.因果関係がある

発生した損害が、その不法行為と因果関係がある必要があります。

不法行為がなければ、損害が発生しなかった事が立証出来れば不法行為と認められます。

反対に不法行為がなくても、損害が発生した場合は因果関係が無いことになるので、不法行為の内容によっては、立証する事が難しくなります。

特に医療過誤などの場合、もともと病気の人の診察にあたるのが医者なので、医者の行為が必ずしも損害に関係しているかを問うのは難しいです。


不法行為が認められれば損害賠償が請求出来る


不法行為が認められれば、損害賠償を請求出来ます。

損害賠償は金銭賠償が基本ですが、名誉毀損の場合は現状回復なども請求出来ます。

損害金額は裁判所の判断もありますが、妥当な金額を自分で計算して算出してもよいでしょう。

社会通念上妥当な金額であればよいので、自ら計算した方が、現実の損害の発生を立証する上でも良いのではないかと思います。

これらの一連の手続は裁判所を通して、自らがしなければいけません。
不法行為の立証責任は被害者が負いますので、自分で書類を作成して裁判所に提出します。

もし、自分で申立書を作成するのが難しい場合は、専門家に依頼しましょう。

専門家は申立人の味方なので、必要な情報や有利となるアドバイスをしてくれますので、困ったら相談してみるのがよいと思います。