仕事しながら妊娠・出産・育児をする場合

仕事しながら、妊娠・出産・育児するのは大変だと思っている方は多いと思います。
確かに働くことも大変な上に、さらに妊娠・出産・育児というのはとても大変なことだと思います。

しかし、だからこそ、それを補うために様々な休業制度や就業時間短縮制度が法律で定められています。

それらを上手に活用すると、妊娠確認後から子供が小学校入学するまでの期間、なんらかの優遇措置が受けられる可能性があります。

真剣に出産や子育てを考えている人はそれらの制度をしっかり活用して子育てをしたいところです。

そして、法律で定められているのは最低限の優遇措置です。
会社によっては就業規則で法律を上回る優遇措置がある場合があります。

最低限は法律でカバーされますが、会社の就業規則でより有利な制度が定められている場合がありますので、そちらの方もしっかり確認する事が重要だと思います。

大事なことは妊娠中・産休中・育休中・復帰後の時期ごとに何をしなければいけないのかをしっかり計画する事です。

最初に出産予定日を確認してそれに合わせて取得出来る休業制度を検討しましょう。
法律と合わせて会社の就業規則を確認して、利用出来そうな制度がないか検討して、しっかりスケジュールを作ります。

確実に取得できる制度であればよいですが、保育園に入園出来なかったときのみ利用出来る制度もあります。

確実に取得できる制度であれば、その前提でしっかり予定をたててその通りに行動するように心がけておきましょう。

場合によって利用できる制度であれば、別の選択肢も考えながら複数のパターンを想定しておくことも大事です。

わからないことがあったら、その都度、労働局や行政窓口に電話で問い合わせて相談してみましょう。


妊娠確認後から


妊娠中は重量物の取扱い業務・有毒ガス発散場所での就業が禁止されます。
また、本人から請求があれば軽易な業務への配置転換などの対応が必要です。
また、本人から請求があれば時間外・休日・深夜労働をさせてはいけません。

妊娠中と産後1年以内は保健指導や健康診査に必要な時間を確保できるようにしなければなりません。

また、医師の指導事項を守ることができるように、措置を講じる必要があります。
例えば妊娠中の通勤緩和(時差通勤・勤務時間短縮)、休憩(休憩時間延長・休憩回数増加)などがそうです。

これら医師の指導内容を事業主に的確に伝えるための書類が「母子健康管理指導事項連絡カード」です。

ここに従業員の症状やそれに対する医師の指導項目や会社が行うべき措置などが記載されています。

また一連の優遇措置によって従業員が不利益な扱いをされないように配慮する事も法律でしっかり定められています。


産前産後休業


出産予定日前後の産前産後休業は出産予定の労働者なら誰でも取得できます。

産前は出産予定日の6週間前から本人の請求があれば必ず事業主は休ませなければいけません。
産後は実際の出産日から6週間は就業禁止で必ず休まなければいけません。
また、本人からの出勤したいという請求がない限り、産後8週間までは原則休むことができます。

産前産後休業は事業主が労働者に休業させることを義務付けていますが、賃金の支給は義務ではありません。

ただ、その間の生活保障として健康保険被保険者であれば出産手当金が受けられます。
出産時には出産一時金が健康保険から支給されます。

自治体によっては出産祝い金を支給してくれるところもありますので、市役所に問い合わせてみるとよいと思います。

なお出産予定日から実際の出産日が遅れた場合、産前休業期間が延長されます。


育児休業


育児休業は正社員だけでなく非正社員のかたも取得できます。
但し、非正社員の場合、その会社で勤続1年以上でないと対象外になってしまうので、事前に確認しておくことが重要です。

育児休業は女性だけでなく男性も取得出来るのが特徴です。
女性は産後休業後(8週間後)に取得しますが、男性は出産後すぐに取得する事が出来ます。

原則として子の1歳の誕生日の前日まで取得する事が出来ます。
ですので、子供が1歳になるまでは夫婦どちらかが、必ず休みを取得出来ることになります。

また、育児休業は原則、子1人につき1回限りなのですが、妻が産後休業中に夫が育児休業を取得した場合は、夫は再度取得可能です。

なので夫は出産日から早めに育児休業を取得すれば、早く子供の面倒が見れる他、その後一度職場復帰した後も、妻に何かあって子供の面倒が見れない場合、再度育児休業を取得できます。

実は育児休業は特別な事情がなくても2歳までなら、期間の延長が1回までできます。
また、保育所に入れない等の特別な事情があれば子が2歳になるまで何度でも休業を延長出来ます。

例えば、子の1歳の誕生日の前日に育児休業を取得していれば、保育所に入れない等特別な事情があれば1歳6ヶ月まで延長出来ます。
そしてこの1歳6ヶ月までの休業した後、特別な事情がなくても2歳まで休業の延長が出来ます。

また、パパ・ママ育休プラスという制度あって夫婦で育休を取得した場合、原則は1歳までの育児休業を1歳2ヶ月まで休業することができることになります。

このような事情から夫が、早めに育児休業を取れれば、再度育児休業の取得が可能なので、このあたりの制度をうまく利用すれば、子供が2歳になるまでなら、夫婦どちらかが休業して直接面倒見ることが可能となるのです。

休業中の生活保障としては、雇用保険から育児休業給付を受ける事が出来ます。
育児休業は休業期間なども含めて複雑なので、あまり難しく考えないほうが良いかもしれません。

とりあえず子供が2歳になるまで夫婦どちらかがなんらかの休みが取れる、と理解しておいて、その都度利用出来る制度はないか検討してみる感覚でもよいと思います。


育児による所定労働時間の短縮措置


子供が3歳になるまで、所定労働時間を6時間に短縮する事が出来ます。
これは、労働者の請求によって労働時間を短縮する事が出来ます。

子が3歳になるまで何度でも、請求する事が出来ます。
また、請求があれば所定労働時間の短縮は事業主に義務付けられています。

賃金については短縮された時間に応じて支払う給与を減らす処置は認められています。
短縮された時間の割合に応じて月給を変えたり、時間給を変更するといった方法によります。


育児による時間外労働・深夜労働の制限


子供が3歳になるまで、請求があれば所定時間外労働をさせてはいけないという制度があります。
この制度は所定労働時間に関係なく利用できます。

例えば、所定労働時間が3時間のパートでも請求する権利はあります。

また、子供が小学校就学始期に達するまでは請求があれば、法定時間外労働をさせられるのは月24時間までが限度とする、という制度もあります。

子供が小学校就学始期に達するまでは請求があれば深夜労働(22時~5時)はさせてはいけない、という制度もあります。

子供が小学校入学するまでの期間は労働時間になんらかの制限を付けることが可能なので、このような制度の利用も検討してみましょう。


法律によって妊娠・出産・育児が支援されている


これらの特別な支援は法律によってしっかりと保護されている制度です。
なので事業者は必ず守らないといけないということです。

また、このような支援制度を利用する事で当事者が不利益に扱われないように配慮する事も必要です。
支援を受ける者が不利益な扱いを受けないように事業主はしっかり配慮して法律が骨抜きにならないようにするべきでしょう。

また、法律は最低限度の優遇処置を規定しているだけなので、会社によってはより充実した支援を行っている場合もあります。

会社の就業規則をしっかり確認してより良い制度を利用出来るように検討してみましょう。