国の予算はどうやって決まるの?国民が予算に関わっている仕組みとは?

1年間の予算は、国が行政サービスや社会保障、公共投資などに使う金額を決めるために作成します。

つまり予算は、国が国家を運営するためのお金の使い方を決める予定表のようなものです。

毎年、年末(12月頃)までに予算の骨格は決まり、翌年の1月から始まる通常国会で審議されます。

そして年度末(3月末)までに国会で議決を受けなければなりません。

この議決された予算に従って、4月からの新年度の国家運営に必要なお金が支出されます。

予算案自体は各省庁が作成しますが、重要な事は予算案は必ず、国会で議決を受けなければいけない、と言うことです。

その根拠となっている法令が以下です。


日本国憲法の第83条から第91条に国の財政についての記載があります。

〈日本国憲法 第83条〉
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

〈日本国憲法 第86条〉
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない


財政民主主義とは、国の財政は必ず、国の代表である国会の議決が必要であるという考え方です。

つまり財政民主主義は日本国憲法によって保障されています。
そして国民が予算や財政について一定の影響力を行使する権利を保障しています。


もし憲法によってこの権利が保障されていなければ、各省庁が自分達に都合のいいように予算を作成する事が可能になります。

国家は国民にとって親のような存在なので、親が自分のためだけにお金を使い、子供のためにお金を使わなくなったら子供は生きていけません。

同じように国が国家のためだけにお金を使って国民生活のためにお金を使わなくなったら国民の生活は困窮してしまいます。

そのような事にならないよう、憲法で財政民主主義は保障されているのです。

財政についての具体的なルールは財政法に詳しく記載されています。

国債発行、予算の作成、決算についてなど細かな規定は財政法を参照すると詳しくわかります。


国民が予算についてどう関わる?


財政民主主義の原則がある以上、国民は予算の作成について、基本的にはどのように関わっても自由です。

もし予算の中身に納得が出来ないならば、抗議する事も出来ます。
抗議する方法は様々ですが、一般的なのは、地元の政治家を通して行うのが1番効果的でしょう。

予算は国会で国会議員の議決を受けなければいけません。
その国会議員は国民が選挙で選びます。

なので、国民は地元の選挙区の政治家に、どのような予算を組んでほしいか直接訴えるとよいでしょう。

政治家も地元の有権者の声を無視する事は出来ないので、国会で活動する必要があります。

このような地元有権者の声が大きくなれば、個人の政治家だけでなく、政党を動かす事も出来るかもしれません。

抗議の仕方は、言論活動によって適切な方法で行う必要がありますが、重要なのは

「国家予算は国民のために支出する」

ということです。

特定の人達だけを利するのが目的でなく、国家全体のために支出するべきであるということです。

分かりやすく言うと、国民生活にプラスになるために予算を支出するべきであって、国民生活を困窮させるために支出するものではないのです。

社会保障費や公共投資のためにお金が必要であれば、しっかり予算を付けて支出しなければいけません。

もし、予算が削られたらそれによって生活が困窮してしまう人達が出てくるかもしれません。

そのような事態にならないように、国民の側もしっかり予算の中身を見て、監視しておく必要があります。

必要な予算が勝手に削られてしまわないように予算案の中身をしっかり確認する事はとても重要です。

反対に不必要な事に多く予算が使われていないか確認する事も重要です。

特定の利益団体の為だけに予算が使われては国民の為になりません。

いずれにしても予算の中身をしっかり吟味する事が、国民が予算に関わる第一歩だと思います。


予算の財源は必ずしも税金で補う必要はない


別のページでも書きましたが、税収が少なくて予算に必要な財源が不足する時は、国債を発行して資金を調達します。

そしてその国債は税金で必ずしも返す必要はありません。

その観点から見ると、予算を作成する時、

「財源をどうするか?」

と考えるのはあまり意味がない事だとわかると思います。

国は毎年多くの国債を発行して税収だけでは不足する財源を補います。

その国債は借り換えして返済しているので、税収で返済する必要はありません。

むしろ、必要な所に、特に困っている人達に、しっかりお金が行き届くように、予算を作成する事が重要と言えます。

そのための予算作成に最も時間や労力を割くべきといえます。

経済対策の公共投資、貧困対策の定額給付など、国民が安心して生活していけるように予算は組まれるべきです。

経済政策や貧困対策に必要な予算を作成する時に

「財源はどうするか?」

などと考えるのは全く意味がありません。

テレビの討論番組などで、たまに財源についてしつこく気にする人がいますが、完全に矛盾していると言えるでしょう。

そもそも国の財源がないから困っている人達が増えるわけで、財源があれば困る事はありません。

その困っている人達を救うために予算を作成するのに、財源を気にすること自体全く生産性のない議論といえるでしょう。

財源は国債を発行すれば良いのです。

簡単な話です。

そして、経済政策や貧困対策にこれらの資金を重点的に充てて、景気が良くなって経済成長すれば、税収も増えます。

その時になれば、財政も余裕が出てくるので、国債に頼らなくてもよくなる場合があります。

国には国民の生活をしっかり安定させる責任があります。
国民が安心して不自由なく生活していけるように面倒を見る義務があると言えます。

もし、国民が、財源が不足して十分な保障が受けられないのであれば、もっと国債を発行して財源を増やした方がよいでしょう。

そして、国民が経済的な事が理由で、人生に希望が持てないような社会にしないようにしっかり経済政策をするべきでしょう。

反対に国民には国家がそのように、しっかりとした予算を作成するように求める権利があります。

それが、財政民主主義の最も基本的な理念といえるでしょう。