行政書士とは?

行政書士とは、かつては「代書人」と呼ばれていました。
江戸時代や明治時代の初期のころは全ての人が手紙や書類を書けるわけではなかったので、代わりに書いてくれる人が必要でした。

その後、識字率も向上して簡単な書類は自分で書くことができるようになりましたが、役所に提出する書類や権利関係の絡む難しい書類などは代わりに書いてくれる人が必要でした。

その代書人という仕事の流れで戦後に行政書士法が制定されて、書類作成の専門家として、今日の行政書士という職業が成り立ちました。

今日でも商売をしたい人が営業許可を取得する書類は行政書士に依頼する事が一般的になっています。
また、権利関係が発生する契約書の作成なども、トラブル防止の為に行政書士に依頼する人が多いです。

行政書士の仕事は一般的には予防法務としての意味合いが強くあります。
生活において重要な事柄を決める書類は、色々な法律知識を持っている専門家に依頼して作成してもらった方が、後々のトラブルを未然に防いでくれるわけです。

そのために行政書士が書類作成する方がトラブル防止や社会の公益にかなっていると思われるので、国家資格をもつ専門家のみが独占業務として代行して作成することができるのです。


役所に提出する書類


役所に提出する書類といっても、たくさんあります。
建設業許可申請書風俗営業許可申請書などの営業許可を取得する書類もあれば、車を購入した時に、提出する車庫証明も含まれます。

外国人の在留資格を取得するための申請書などもそうです。
種類は様々ありますが、これらの書類を本人に代わって作成する事が行政書士の仕事です。

これらの書類は専門的な知識が必要であったり、自分で作成するには手間かかってしまうので専門家に依頼したほうが安全で効率的ということです。


権利義務又は事実証明の書類


役所に提出しない書類でも、自分で作成するには難しい書類があります。
権利関係が絡む書類や一定の形式で作成しないと法的効力が発生しない書類などです。

具体的には不動産売買や仕事の依頼を受けたときに作成する契約書などです。
これらの書類は、内容をしっかり確認して、自分が不利な条件で契約を結ばないようにしなければいけないので、法律知識を持った専門家が作成する事がもっとも適しています。

法律の条文を読む習慣のない人が、あいまいな表現のままの契約を結んで、後でトラブルにならないように、事前に行政書士などの専門家に依頼します。

遺言書の作成は一定の形式で作成しないと法的効力が発生しない場合があります。
また、遺言書の内容が遺言者(遺言を残す人)の意思をしっかり反映したものになっているか、確認する必要もあります。

このような重要な権利関係や意思表示を行う時に作成する書類を、行政書士に代わって作成してもらう事は予防法務の点からも大切な事です。


その他の書類


そのほかにも行政書士が作成した方が効率的な書類はたくさんあります。
企業の財務状況を表す資金繰り表や今後の事業の流れをまとめた事業計画書などがそうです。

これらの書類は補助金融資の申込をするときに必要になってきます。
普段から書類作成を行っている専門家であれば、補助金や融資を受けやすい事業計画書の作成方法を知っています。

事業を行っていく中で必要になってくるこれらの書類も行政書士に頼んでおくと、今後の会社経営を有利にする事ができるでしょう。


最近の書類作成はパソコンスキルが不可欠


現在書類を作成する時はほとんどの場合、パソコンを用いてワードやエクセルなどのソフトで作成します。
ワードやエクセルは専門家でなくても使いこなす事は出来ますが、普段から使いなれていて、数多くの書類をソフトを使って作成している専門家の方が様々な書類を作成する事が出来ます。

実際にマイクロソフトオフィススペシャリストの資格を取ってソフトを使っている専門家は、様々な用途で使いこなす事ができます。

資金繰り表事業計画書など、補助金や融資の審査に大きな影響を与える書類の場合、書類の見た目の印象なども考慮して判断されるので、専門家に依頼する方がより確実に審査を通りやすくする事ができます。


行政書士以外のものが本人に代わって書類作成する事は法律で禁じられています

コンサルティング会社は経営の指導や助言は出来ますが書類作成は出来ません。
実際に事業を行う会社の外部の人が事業計画書を作成する事は行政書士法に違反するので、作成する事ができません。

しかし行政書士は事業計画書の作成まで出来ますので、コンサルティングと一緒に書類作成までして事業者の負担を軽くする事が出来ます。(但し、他の法律で書類作成が認められている場合はこの限りではありません)